#03 木の温もりに包まれて

(2017年リフォーム竣工/竣工当時築9年)

木の温もりに包まれた、
人が集う邸宅

都心の一角の緑豊かな丘に佇む築9年のマンションを購入し、住み替えに合わせて自分達の生活に合わせた内装にリフォームしたい。
そんなご家族にプランニングを依頼された私たちは、お客様と会話をしながらコンセプトづくりから始めました。

ご主人様はかつて組織から独立し、現在は会社を経営されていることもあり、交友関係が広く、人との交わりや家族をとても大切にしている印象を受けました。
仕事関係の知人や家族ぐるみで付き合う友人達と集う機会が多いとのことでしたので、この新しいリビングでたくさんの人たちを呼んでおもてなしができればという思いから「広場」というコンセプトを設定し、プランニングを開始しました。

この「広場」の中心となるのは、約30帖の広々としたLDK。
もとはベッドルームとして仕切られていた6帖の一室を、間仕切り壁を撤去してリビングに取り込みました。
広くなったスペースでキッチンもダイニングと間口を広く対面するように向きを変更し、豊かなコミュニケーションが育まれるレイアウトとなりました。

お客様と共有したデザインテイストは“スカンジナビアン&ジャパニーズ”。
冬の日照時間が短く、家族と屋内でゆったりと過ごすことが多い北欧住宅のイメージで、ナチュラルで人に優しい木質素材を多用しながら、日本人に合った意匠と機能性を盛り込んだ、飽きのこない住まいを目指しました。

Curved ceiling

R形状の天井造作

R形状の折上げ天井で、視覚的な柔らかさとゆとりを表現しました。
ルイスポールセンのペンダント照明や間接照明から発せられる光を受けて生まれる陰影も、空間をより魅力的に演出しています。
木質素材&白壁のシンプルなLDKの中で、この優しいカーブのデザインが空間を切り取り、表情豊かな印象となります。

竣工写真

CGパース

プレゼン初期の段階で、お客様の理想と私たちが描いたイメージを一致させるために、CGパースで折上げ天井のR形状もデザインに組み込んでいます。

Use of wooden materials

木質素材の使用

床は幅の広い板のフローリングに。
チークの木目が生み出すダイナミックな表情が、シンンプルな左官仕上げの白壁を背景に、空間の豊かさを一層高めています。
足裏から自然の暖かさも伝わり、目と肌で温もりを感じられる床に仕上がりました。
さらには他の居室や廊下、パウダールームと、同じフローリング材を使用したことで、空間全体のまとまりを演出しました。

Kitchens where people gather

人が集うキッチン

リフォーム前は窮屈な印象のあったキッチンは90度向きを変え、ダイニングと対面する位置に配置し、スペースを拡張。
背面に家電収納、食品庫、食器棚を兼ねたキャビネットを設け、作業性と収納力を充実させました。
夫婦でともに料理を楽しんだり、LDK で寛ぐ家族や食事に招いたお客様とキッチンから会話をしたり、傍らに大きく開いた窓から都会の景色を臨んだり。
癒しと機能性を兼ね備えた、開放的なキッチンとなりました。

「アルフレックス」のシンプルで飽きのこないデザインのソファとダイニングテーブル。
パステルカラーの座面が印象的な「セシリエ・マンツ」のダイニングチェア、機能的でミニマルなデザインの「モーエンスコッホ」のブックケース。
置き家具も空間を構成する重要な要素として効果的なアクセントになっています。

Lines and planes

面と線のスマートな表情

エントランスは、美術館の一角のような雰囲気を目指しました。
そのため、床に重厚感を持たせた淡灰色の大理石を張り、天井から壁へ繋がるフレンチヘリンボーン柄の天然木パネルでナチュラルな中にも気品のあるイメージを醸し出し、ここから始まる室内空間への期待感を高めます。
大理石は割り付けに配慮し、シンメトリーな表情が浮かび上がらせています。
壁面に造り付けた玄関収納やシューズインクロークの建具も、同系の天然木パネルを用いて空間に統一感を持たせています。

エントランスは、美術館の一角のような雰囲気を目指しました。
そのため、床に重厚感を持たせた淡灰色の大理石を張り、天井から壁へ繋がるフレンチヘリンボーン柄の天然木パネルでナチュラルな中にも気品のあるイメージを醸し出し、ここから始まる室内空間へ誘われる期待感を高めます。
大理石は割り付けに配慮し、シンメトリーな表情が浮かび上がらせています。
壁面に造り付けた玄関収納やシューズインクロークの建具も、同系の天然木パネルを用いて空間に統一感を持たせています。

エントランスと廊下の床はもともと段差がなかったため素材の違いが上下足の境となっています。

ドアを開け放ち、廊下に光を届かせることができるよう、廊下から繋がる居室には引き戸を採用。
ドア枠が廊下から見えないように納めることで、すっきりとしたイメージに仕上げています。
長手に対して直行する向きにフローリングを張ることで、廊下を視覚的に幅広く見えるよう演出しています。

And More...

Bath &
Powder room

石張りの浴室や洗面脱衣室にあったトイレ、独立した洗濯機用ユーティリティースペースなど、家族の使用感やライフスタイルに合わない部分は、それぞれ見直しを行いました。

浴室は子供の目線に配慮し、柔らかい素材を使ったユニットバスを採用。
家族皆で使う洗面化粧台はより幅を拡張し、衣類やリネン類も一箇所に収納できるようにして、機能性を向上させました。
独立したユーティリティスペースは廃止し、洗面化粧台の背面に。洗濯機脇には新たに脱衣ボックスを設けて作業効率を高めています。
もとのユーティリティスペースは玄関から入るシューズインクローゼットに変更。住まう家族の日常の便利さに合わせて修正しています。

Workspace

書斎には、仕事を始めた頃から使っていたデスクの作り手に、今回の住み替えに合わせて再オーダーしたデスクを設置。
床はLDK、廊下と同様のフローリング材で統一しています。
壁一面の収納スペース。お子様の低い目線も考慮した区分けで、家族みんなが使いやすい仕様にしています。

Wine cellar

たくさんの友人たちと語らう時間を楽しく過ごすために欠かせないワインのストックは、ダイニングテーブルの背面の大型のワインセラーに貯蔵されています。
ワインセラーは普段リビングのへリンボーン柄の引き戸の背面に隠れており、スライドすると現れる「遊びごころ」のある仕様に。
壁との一体感をもたせることで、空間をスマートなイメージに引き締めています。