#07 空間の連続性を高めた最上階の邸宅

東京の南西部に佇むこの集合住宅は、南東に面した小高い丘の中腹にあり、
斜面に傾斜を合わせながら、扇状に建てられています。
リフォームの依頼主は、その最上階の南東角にある、
広さ60坪の一区画を購入されたご夫婦です。
この専有部分は、南に面して間口が広く、
西寄りにLDKなどのパブリックスペース、
東寄りに寝室などのプライベートスペースがあります。
この2つの空間が、雁行しながら、中央の玄関が両者をつなぐという
特徴的な形状をしています。
今回のリフォームで重視したのは、広い床面積だからこそ、
動線のあり方や、空間の連動性を高めるような工夫を盛り込むことです。
これにより、区画された各室へのアプローチが向上し、
専有面積の隅々まで有効活用することができるのです。

東京の南西部に佇むこの集合住宅は、南東に面した小高い丘の中腹にあり、
斜面に傾斜を合わせながら、扇状に建てられています。
リフォームの依頼主は、その最上階の南東角にある、
広さ60坪の一区画を購入されたご夫婦です。
この専有部分は、南に面して間口が広く、
西寄りにLDKなどのパブリックスペース、
東寄りに寝室などのプライベートスペースがあります。

この2つの空間が、雁行しながら、中央の玄関が両者をつなぐという
特徴的な形状をしています。
今回のリフォームで重視したのは、広い床面積だからこそ、
動線のあり方や、空間の連動性を高めるような工夫を盛り込むことです。
これにより、区画された各室へのアプローチが向上し、
専有面積の隅々まで有効活用することができるのです。

2020年リフォーム竣工/竣工当時築16年

空間の連続性Living & Dining

リビングとダイニングに挟まれた、大きな中庭のテラスが特徴的な住戸です。
テラスに面して大きく開けられた窓の開口は、
十分な自然光を取り込みながら、この空間に豊かさと解放感をもたらしています。
中庭がリビングとダイニングを大きく分けていますが、有機的な連続性を持たせるよう、
テラスの床には室内のフローリングと同系色のタイルを敷設しました。
また、開口部が大きいため、季節や昼夜による寒暖差が生じてしまいます。
そのため、窓に遮熱レースや断熱スクリーンをかけることで、
室内の温熱環境への影響を軽減しています。

  • リビングから中庭のテラスを望む。テラス脇の通路を抜けるとダイニングルームが
    広がっています。右は玄関ホールで、その奥のプライベートスペースへとつながっています。
  • 壁面中央はビルトイン型のTVモニターシステム。映像を映さなければ、黒いガラスの壁となり、モニターの存在感を消すことができます。ガラス壁面の周りには、水磨きを施したイタリア産の砂岩を張り、周囲との質感や色調の調和を取っています。

    壁面中央はビルトイン型のTVモニターシステム。映像を映さなければ、黒いガラスの壁となり、モニターの存在感を消すことができます。ガラス壁面の周りには、水磨きを施したイタリア産の砂岩を張り、周囲との質感や色調の調和を取っています。

    玄関ホールの床や壁もリビング壁面と同一の砂岩を張ることで空間の連続性を意識している。

  • 【ダイニングルーム】
    独立したキッチンを隔てていた壁を取り払いダイニングと同一の空間とすることで、開放性と機能性を向上させた。

    【ダイニングルーム】
    独立したキッチンを隔てていた壁を取り払いダイニングと同一の空間とすること で、開放性と機能性を向上させた。

    【ダイニングの壁面収納】
    書籍や絵画などはオープン棚に、調度品や食器などは扉のあるガラス収納、普段使いのものや季節のものは足元の目隠しされた扉の収納にと、それぞれ用途に応じて納められている。

  • 色調を白で整え、できる限り凹凸のないフラットな面を連続さ
    せることで、スッキリとした印象。機能性や清掃のしやすさにも
    配慮しています。
  • キッチンは内側に視線が届かないように、コの字型に構成されています。その一辺には、ご夫婦で会話をしながら食事ができるように、
    木製の対面カウンターを設けています。しかし、それが回遊動線の妨げとなるため、使用していないときは、スライドしてダイニング側に
    通り抜けできるようにしました。

  • 色調や素材を限定し、できるだけ凹凸をなくしてフラットに仕上げ
    ることで、通路の圧迫感を軽減。ここは、アートや装飾品を飾る
    ギャラリーとしての機能も持たせています。

住まい手との調和Sub Living & Bed Room

玄関ホールから左手に向かうと、プライベートスペースが広がっています。
この区画には、もともとバスルームと3つの寝室がありましたが、
各部屋が独立した3室ではご夫婦2人での住まい方に合わないために、
その一つを書斎や音楽鑑賞などに使えるプライベートリビングとして、
主寝室との繋がりがある空間にしました。
プライベートリビングは書斎としての機能もあります。
デスクも床のフローリングやドアとの相性を考慮して、
色、質感ともに雰囲気に溶け込むようにデザインしています。

  • このデスクは、あらかじめ入れるものを伺って、引き出しの幅や高さ、奥行きの寸法を決めていきました。またPCやスマートフォンの電源コードが、足元で埃だまりにならないよう、デスクの下で収納できるようにしています。これにより、すっきりと収納ができ、掃除の効率も向上しました。

  • 南に面した寝室は、大きく開口された窓からたくさんの光と風を取り込んでいます。この豊かな空間に配慮しつつ、収納力を確保する目的で、ベッドは壁に沿わせず、中央に設置。アイランド形式のドロワー(引き出し収納)をヘッドボードにしています。
    これにより、動線が回遊しクローゼット使用時にも、ご夫妻それぞれの通行の妨げになりません。また、ウォークインクローゼットにもスムーズに行き来することも可能になりました。

細やかな気遣い And More...

住まいの機能性を向上し、細部に至るまで
可能な限り有効に利用するためには、
住まい手のライフスタイルに寄り添いながら、
空間の意味を多方向から考察し、整理しなおす作業が必要です。
さまざまな角度から利便性と居住性を考え、
住まう人に寄り添って完成したこだわりの空間は、住まい手に優しく、
長い時間を過ごしても快適で居心地がいい空間になっていくのです。

  • Lavatory

    壁の端から端まで横長にミラーを張ることで、ゆったりと使える
    洗面カウンター。視覚的に洗面室が広く見える効果もあります。

  • Bath Room

    自然光がさしこむバスルーム。窓をつくるために、脱衣所とバス
    ルームの位置を入れ替えました。

  • Toilet

    寝室内のプライベート用のトイレには、小物等を飾ることができるよう、ウオールナットとステンレスで作ったシンプルな棚を設置。

    Toilet

    寝室内のプライベート用のトイレには、小物等を飾ることができるよう、ウオールナットとステンレスで作ったシンプルな棚を設置。

    Toilet

    パブリックスペース側に近いトイレは、白を基調とし、横長に大きく張ったミラーの背面には間接照明を入れ、落ち着きがある空間を演出しています。

Entrance

人を迎える玄関は家の顔であり、その家の印象を表す演出の場でもあります。
この玄関の正面は、かつて一面のガラス窓で外に視線が抜けていましたが、
今回のリフォームで、あえてその半分に壁を立てて、床と同一の石を張り、
空間を演出するための背景としての役割をもたせました。
壁を設置することは、外の景色を切り取ることでもあります。
これにより、入る光の量を制限し、陰影を強調させた品格がある空間に仕上げています。

Floor Plan